胆石症と胆のうポリープ
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胆石症と胆のうポリープ
内視鏡外科手術で多い手術例が胆石症です。
これまでの開腹手術では大きな手術の傷あとが残りましたが、内視鏡外科手術だと、ほとんど手術の傷あとがわかりません。
術式 | 開腹手術 | 内視鏡外科手術 |
---|---|---|
傷の長さ(傷の数) | 100~150mm(1ヵ所) | 25~30mm(5mm 3ヵ所 10mm 1ヵ所) |
手術時間 | 太った方で120分以上 | 太った方でも60~80分以内 |
術後の痛み | 強い痛みあり | ごく軽度 |
食事の開始 | 手術から2~3日後 | 手術の翌日(水分は当日から) |
入院期間 | 手術から10~21日 | 手術から3~5日 |
日常生活への復帰 | 約1カ月後 | 手術から2~5日後 |
手術の傷跡 | 起こりうる | 殆ど発生しない |
内視鏡外科手術で多い手術が胆石症
胆石とは脂肪分の消化を助けるために肝臓で生成された胆汁中の成分が溶けきれず、石のように固まったもの。胆汁の存在する肝内、胆管、胆嚢に発生します。特に胆嚢では胆汁が濃縮されて貯蔵されるために、胆石ができやすくなります。
胆石による症状
胆石による症状は様々です。油物を食べた後の、みぞおちや、わき腹の痛み、背中の痛み、場合によっては発熱などが代表的な症状です。胆石が胆嚢から出て行こうとする時に、激しいお腹の痛みに襲われます。発作が起こった時は、七転八倒の苦しみのなか救急車で病院へ駆け込んでこられる方も多く見られます。
症状が出る前に手術
これまでは、胆石を持っている人で何らかの症状がある人にのみ手術を勧めていました。今でも多くのドクターはそのような方針で治療にあたっておられます。我々は、胆石はあるが痛みなどの症状のない人にも“元気なうちに手術を受ける”ことを強くお勧めしています。
第一の理由は、内視鏡外科手術が開発されたことにあります。腹腔鏡下胆嚢摘出術という、新しい手術法により、胆石症に対する手術の考え方が一変しました。この手術法では、癒着がほとんど起こらず、痛みも少なく、手術あとも目立たない。手術の翌日か翌々日には退院し、元の生活に戻ることができます(アメリカでは日帰り手術)。ですから私たちは躊躇する事なく手術をお勧めしています。
第二の理由は、胆石によって胆のうがんが見つけにくくなることがあるからです。通常超音波やCTスキャンなどで確認しやすい胆嚢の病気は、胆石があるとアコーステイックシャドウと呼ばれる石の影に胆嚢が隠れてしまい、万が一腫瘍があっても非常に見つけにくくなります。
元気で体力がある時に内視鏡外科手術を受けておけば数日で退院でき、胆石があるというストレスからも開放されます。症状のない時の胆嚢は炎症がほとんどありません。