そけいヘルニア
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そけいヘルニア
そけいヘルニアになる原因と種類
鼠径部(そけいぶ)にはお腹と外をつなぐ筒状の管(鼠径管)があり、男性では睾丸へ行く血管や精管(精子を運ぶ管)が、女性では子宮を支える靱帯が通っています。年をとってきて筋膜が衰えてくると鼠径管の入り口が緩んできます。お腹に力を入れた時などに筋膜が緩んで出来た入り口の隙間から腹膜が出てくるようになり、次第に袋状<ヘルニア嚢(のう)といいます>に伸びて鼠径管内を通り脱出します。
いったんできた袋はなくならず、お腹に力を入れるとヘルニアのうの中に腸など、お腹の中の組織が出てくるようになります。これを外鼠径ヘルニアといいます。腹壁には弱い場所があり、年をとってきて筋肉が衰えてくるとここを直接、押し上げるようにして腹膜がそこから袋状に伸びて途中から鼠径管内に脱出します。これを内鼠径ヘルニアといいます。外観は外鼠径ヘルニアと変わりません。鼠径部の下、大腿部の筋肉、筋膜が弱くなって膨らみが発生するヘルニアを大腿ヘルニア(だいたいヘルニア)といいます。
手術法
お腹の中にカメラ(腹腔鏡:ふくくうきょう)や処置具を挿入して、遠隔操作でお腹の内側から弱くなった筋膜、筋肉に人工補強材を当て補強する方法です。1990年代になり開発されました。再発率が低く(1~5%ぐらい)、術後すぐに歩行が可能です。短期入院または日帰り手術が可能です。全身麻酔が必要ですが、手術時間は両側で1時間前後と他の手術法と特に変わりはありません。この手術の大きなメリットとして、ヘルニア診断がしやすく、両側そけいヘルニアに対しても傷を増やすことなく手術が行えることがあげられます。また1度の手術で複合したヘルニアを同時に治療することが可能です。
へその脇、両側側腹部(キズの大きさはそれぞれ1cm、5mm、5mm)より内視鏡、および細径鉗子を挿入し、上図のような3-Dメッシュ、またはソフトメッシュ(バード社製)を用いて腹腔内よりヘルニア門を閉鎖します。
両側ヘルニアでも、複合したヘルニアでもキズが増えることはありません。